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航空会社にしてみれば、確実な旅程を組んでいない人が、「とりあえず」予約することを避ける意図があるのだろうが、出発前ならば座席の再販売は可能なのだから、1週間前まではせめて妬%程度の取り消し手数料に抑えてほしい。
今の時代、2カ月前に旅程を確定できるのは、よほど時間が自由になる人だけだ。
日本エアシステム(J)がW年に実施した「THE席くじキャンペーン」には思わずわが目を疑った。
半年の期間にJ国内線の利用者のなかから、抽選で1等は毎日7名に現金V万円、2等は毎月6000名に5000円分のJギフトカードが当たるのだという。
これが公共輸送機関の「認可運賃」で認められることなのだろうか。
Jのキャンペーンは、劇場や野球場などで行われる通称「席くじ」で、当選番号の座席に座っていた乗客に現金が当たる仕掛けだ。
産地の特産品や心の和む品程度ならば微笑ましいのだが、当選者にズバリ現金を用意した。
2等の5000円分のJギフトカードは、まだ販売促進策と理解できるにしても、問題は1等である。
Jの国内路線には、片道どころか往復でも如万円の路線はない。
普通片道運賃の3〜4倍、大阪l徳島の発売日割引き運賃5200円の別倍の金額が現金で当たるのだ。
これは販売促進どころか一種の富くじである。
航空法105条の規定によれば、定期航空の運賃は「能率的な経営の下における当該事業の適正な経費に適正な利潤を含めたものの範囲を超えてはならないこと」「当該事業の提供するサービスの性質が考慮されていること」「特定の旅客に対して不当な差別的取り扱いをするものでないこと」と定められており、これを根拠に運輸省は申請運賃を審査し、認可している。
公共輸送機関は、行楽地の貸しボートの類いとは異なって、経済活動に不可欠で、生活路線を兼ねている輸送手段であるがゆえに、赤字が続けば運賃の値上げは認められるが、利潤は〃適正″の範囲にとどまらなければならないはずだ。
販売促進のためとはいえ、当たればチケットの購入代どころか、加倍もの金額を贈呈するのは〃適正〃の範囲を越えていないのか。
航空会社は民間企業で、活動は自由であるのだが、認可運賃による保護を受けているのだから、行動は何でもOKとはならないはずだ。
世の中、ギャンブル全盛時代で競馬、パチンコ、賭マージャンが当たり前であり、1等賞1000万円など大型懸賞が続出している時代に目くじらを立てなくてもよいではないか、と思うかもしれな。
しかし、航空輸送は「公共交通機関である」との認識に立てば、賭博的要素の高い現金クジは問公共交通機関は、酒やコーヒーのような噌好品とは異なる。
「遠く離れた肉親が危篤状態のときに家族で駆けつける」「志望の大学を受験するために上京する」「短い休暇に久しぶりに田舎の両親に近況を報告する」「設備の整った医療施設にかかるために使う」など生活に不可欠な利用も多い。
だからこそ航空運賃は国からの認可運賃になっているのである。
乏しい財布のなかから、家族の運賃をなんとか捻出している人たちがいる一方で、自腹を切らずに会社の経費で購入したビジネスマンが刈万円を射止める可能性もある。
さらに、一般の消費財メーカーは、商品が爆発的に売れれば、賞金も元が取れるが、飛行機は定員以上の乗客を乗せることのできない乗り物である。
したがって、航空会社が1等を当てた乗客のコストを負担するのではなく、抽選にはずれた乗客が当選者のコストを負担しているのである。
乗客の多は、そんな原資があるならば、「運賃を1000円でも下げてほしい」というのが偽らざる気持ちくは、そーである芦っ。
「THE席くじキャンペーン」の期間がまっとうされたところを見ると、運賃を認可している運輸省からも何らお答めはなかったようである。
%年から国内航空に導入された「幅運賃制度」が、現在の日本の国内航空運賃の基本である。
各社の運航コストの平均に〃適正利潤″を加えた〃標準原価″を上限に、それより妬%低い値を下限とし、その範囲内であれば航空会社の裁量で運賃を設定できる制度だ(ちなみに〃適正利潤″とは、「週刊ダイヤモンド」誌%年3月陥日号によれば「6%弱」だという)。
考え方はよいとしても、〃標準原価″の算定内容が適切でなければ、すべてが根底から崩れてしまうのだが、その内容、根拠はまったく明らかにされていない。
アメリカの航空業界では、エアライン、機種、主要路線ごとの機材調達費、乗員コスト、燃料代、整備費、外注作業費、保険代、機内食費などのさまざまなデータが、つまびらかに公表されているのだが、日本は公表の範囲があまりにも狭すぎる。
特に運航や収支に関するデータになると、ほとんど公表されないので、利用者は運賃が適正なのかどうか判断できない。
日本の航空法では運賃について第105条に定めている。
運輸大臣は、定期航空の運賃を認可するにあたって「能率的な経営の下における当該事業の適正な経費に適正な利潤を含めたものの範囲を超えてはならないこと」と規定されているが、「適正な経費」を知ることができるのは、航空会社と監督官庁の運輸省だけだ。
運賃の〃標準原価″の算定にあたっては、「国内大手3社の運航コストを下に弾き出した数字」とされている。
ポイントは、3社の運航コストが、「能率的な経営の下における当該事業」になっているか否かだが、問題は、「当該事業」に収まっていないことだ。
切年3月期の日航の売上げは、国際旅客6231億円(塊%)、国際貨物1317億円五%)、国内旅客2879億円(別%)、国内貨物221億円(2%)、その他1306億円五%)で、合計1兆1953億円と発表されているが、これに対応する部門別の支出はまったく明らかにされていない。
Aのほうも8874億円の売上げのうち、国内旅客6040億円(胡%)、国内貨物283億円(3%)、国際旅客1588億円(肥%)、国際貨物267億円(3%)、その他696億円(8%)で、両社とも国際線は赤字だというものの、具体的な数値は発表していない。
これでは本当に国際運賃を値上げする必要性があるのか、国内線はもっと下げられるのではないかとの疑問が湧く。
しかも、この皿年間に、日航とAの大手2社は、〃本業を逸脱した経営の多角化〃を推し進めている。
日航は開年度(売上高1兆603億円、経常利益527億円)だけで、新規事業の“社に356億円を投資した(当初の5カ年の中期計画によれば、その投資予算総額は側億円であった)。
「日航は別年代後半には、使用総資本のうち2〜3%が関係会社の株式に投資されていたが、Z年代に入って拡大し、妬年3月期では総資本の皿・4%にあたる1685億円が投資された」(O氏著『J・A』O書店刊)。
多角化は、本業を〃支援する″ものではなく、明らかに成長が難しくなってきた本業以外での売上げを増やすために「総合生活文化産業」(J)などへの脱皮を目指したものだった(拙著『J・A』C書院刊)。
Aでも状況は同じで、「別年代後半には、使用総資本のうち4%前後だった関係会社への株式投資はY年代に入って急速に拡大し、坊年3月期では総資本の帥・5%の1270億円が投資されている」(前掲書『J・A』)。
卯年ごろは国内航空各社の絶頂期だったが、認可運賃で儲けた分は利用者に還元することなく、せつせ賃値上げを要望する。
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